北九州市 時と風の博物館

日常の中で見過ごされがちな北九州市が誇るべき魅力や個性を、地域資源として私たち自身で編纂し、未来へ繋げましょう。

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4052

1936年に建築されたビルは、2009年に北九州市都市景観賞を受賞している

ニッスイパイオニア館 ~100年を超えて、水産業の未来へ~

歴史を感じさせる素敵な建物内部
精巧に描かれた漁譜のパネル
かねてから見学したかった「ニッスイパイオニア館」に行ってきました。
ニッスイパイオニア館は、2011年に創業100周年を迎えた日本水産株式会社が100周年の記念事業として開設したもので、洞海湾に面して建つ「ニッスイ戸畑ビル」(1936年建築)の中にあります。
そもそもニッスイの歴史は、創業者がトロール漁船を建造するため1人の人間をイギリスに派遣したところから始まるそうです。1911年には、下関に田村汽船漁業部を設立、1929年には戸畑に移転し、水産物供給のための機能を結集しました。
「ニッスイパイオニア館」は、以下の5つの部屋から構成されています。
【歴史展示室】日本の水産業を支えてきたニッスイの100年をひも解く。
【事業展示室】世界の水産資源をくらしへと届けるニッスイの5つの事業紹介。
【船の展示室】ニッスイの事業を支えた船舶・漁具の模型を展示。
【ライブラリー】ニッスイが収集してきた資料を公開。
【視聴覚室】ニッスイか関わる幅広い映像資料が視聴可能。
中でも一番興味深かったのは、やはり「歴史展示室」でしょうか。
・戦争中、船の供出を免れなかったこと。
・戦後、沈んでいた船を引き上げ再利用したこと。
・洋上で魚をすり身にする技術を確立したこと。
・200海里問題を乗り越えたこと。
ニッスイと聞くと「魚肉ソーセージ!」と答えてしまうような知識しか持っていなかった自分が恥ずかしくなるような、壮絶な歴史がつづられていました。
トロール船の根拠地となるとともに、製氷、冷蔵・冷凍、加工、流通、販売の機能を備えた水産物供給拠点となった戸畑は、ニッスイにとって事実上の創業地、原点の地であるとのこと。
まさにパイオニア・スピリットに溢れた企業の原点がここ北九州市にあることを改めて誇らしく思う見学でした。